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大洪水の被害現場で 

 

 Vol.39 大洪水の被害現場(兵庫豊岡・淡路大洪水)で

 

  私は、Vol.37で阪神大震災の体験談を投稿した者です。震災の時には被災者として助けら

 れる側でしたので、何かお返しができればと思い、民間ボランティアに所属しています。

 災害現場では、様々なことが要求されるので良く出来た(丈夫な)マルチプライヤーは必需品

 です。無茶な使い方も多いですが(ハンマーやくぎ抜きの代わりにも使います)、 意外と丈夫

 なので驚いています。

 

 −さて今回は洪水現場での出来事−

  その電話は唐突のものだった。

 「テレビ見てる?」

 「ん、豊岡とか大変やね」

 「急だけど淡路に行ってもらえる?」

 「洪水だよね。詳細は?」

 「とにかくグチャグチャ。現地の支援は当てにできないからそのつもりで」

  48時間後、淡路に向かう車の中で簡単な説明を受ける。我々が向かう所は、テレビで放送

 されているよりずっと酷いらしい。詳細は現地の本部で受けることになっているので、とりあえ

 ず本部に向かう。

  簡単な挨拶の後、それぞれのチームに分かれて行く先を告げられる。行く先は今朝の未明

 まで山崩れが起きていたところ。重機が入れないので人力で何とか土砂をどけてくるようにと

 のこと。 乗ってきた車は道を通れないので最小限の荷物だけを持って現地の人の軽自動車

 に乗せてもらうようにとの指示。 可能ならあらゆるものを持って行きたいが、 どうやら無理ら

  しい。シャベルと一輪車を押しこんで車に乗せてもらう。 

   

     崖崩れで電柱も倒れています。                崩れた斜面

  車は本部を離れ、さらに街中を離れて山の中に向かう。遠くから見ても崩れているのが分

 かる。何でもあの山の中に集落があって、 さらに離れた農家があるので、そこに行って埋っ

 てる家と庭を掘るらしい。(土砂は数10cmとのこと)細い道を上がっていくと、そこかしこで電

 柱が倒れている。 しばらく行くと大きな木が根っこから倒れていて道をふさぐような状態に

 なっている。取りあえず朝早くに役所の人が軽自動車が通れる程度にはしてくれているので

 かろうじて通れるが人の歩く程度の速度でやっと通れる程度の幅しかない。 無事に着ける

 のかという思いをしながら何とかたどり着くと酷い有様である。

  家のすぐ裏の山が半分ほど崩れており、流れている水は土の色をしている。土砂の除去と

 いっても実態は水をたっぷり含んだ泥の除去と変わりはない。使えるのは一輪車とシャベル

 のみ。ただでさえ細い道路をさらに下り、川を渡ったところなのでたとえ道路が完全に開通し

 ても重機による除去は望めない。やれやれだ。 考えても仕方がないので全員でシャベルを

 使い、代わる代わるに一輪車で泥を運ぶ。1時間、2時間作業をしても目に見えて変わりはし

 ない。とにかく泥を運ぶのに一輪車しかないのがつらい。 

 

 

 

  土砂の少ないところでも、ふくらはぎの中 ほ

  ど30cm位はありました。 場所によって は床

  上2m以上浸水したところもあったようです。

  修理した小型クローラー。電気系にトラブ

  ルがあったそうです。こんなもんでも一輪

  車数台分の働きはしてくれます。

 

  泥を捨てている所から少し離れたところにクローラーがある。ボスが農家の人に交渉に行く。

 農家の人によると貸したいのは山々だが、故障していて動かないらしい。どうせそんなもんだ

 と思い、作業に戻るとボスが近づいてくる。

 「なあ、ドライバーの代わりになりそうな物はない?」

 「あります。ついでにペンチの代わりも出来ます」

 「貸して。あのクローラーを見てみる。」

  ベルトケースからPSTを抜きながら、そういえばボスは整備士だったな、直れば助かるなと

 考える。しばらくするとボスがまた近づいてくる。

 「まさかと思うけど針金ないかな?ちょっとで良いねんけど。」

 「あります。細いですが数メートル分くらいなら。」

 「良し、良し、良し、さすが地震組。でかした!」

 手近な木にぶら下げていたカバンからサバイバルキットを取り出し、その中から針金を渡す。

 ボスはそれを受け取り、また少し離れたクローラーのところに帰る。

 20分くらい経過していただろうか、いきなりエンジン音がする。しかも力強い音だ。 どうやら

 ボスはクローラーを直してしまったらしい。しばらくすると川を渡ってクローラーが近づいてくる。

 「直ったぞ!」

 ボスの得意そうな声。さすが、ボス。 一台とはいえ一輪車とは違う。一度に何倍も土砂を運

 べる。作業も俄然はかどる。 日の沈む頃には絶望的だった土砂もあらかた片付き家も庭も

 無事発掘完了。PSTのおかげだ。

  *クローラー:小さなコンテナにエンジンとキャタピラ等の付いた車。 不整地用のトラックの

       様な物。 

   

 

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