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モニターレポート

  1. 震災現場での体験

震災現場での体験

私のレザーマンツールは傷だらけで、ガタツキがある。
ポーチは一度買い直した。
新しく買う費用が無い訳ではない。その気になれないだけなのだ。
二度の大規模な災害を生き残った相棒としてのツール、それがモデルPST。

あの有名な阪神大震災、 兵庫県豊岡・淡路地方の洪水のいずれの場合もベルトにPSTがあり、 時には瓦礫の中幾重にも巻かれたワイヤーを切断し、 時には分厚い氷を叩き割り、時には現場で故障し放棄されていたクローラーを修理する。
使い手さえ間違えなければ最高のパフォーマンスを発揮する優れたツールだ。

最初はあの阪神大震災のこと。
友人を探して、歪んで開かなくなった窓ガラスを大型のナイフで叩き割り、室内に入る。

室内から猛烈なガスの臭いがする。
あわてて元栓を探すがそこで目にしたのは無様に折れたガス管。何とかしないと救助活動が出来ない。

記憶を頼りに建物の構造を思い出す。
そうだ外部にガスメーターがあったはず。そこの元コックを閉めれば何とかなるかもと室外に飛び出し瓦礫の中を掘る。
幸いすぐにメーターは見つかったのだが何ということか元コックがワイヤーで幾重にも巻かれ勝手に閉栓出来ないようになっている。
一目で素手でどうにかなる状態ではないことが分かる。
一瞬、叩き切ろうかと思うが、もし破損させたらガスを止める方法がなくなると思いとどまる。
何か、何かないかと思いをめぐらす。
そこでようやくPSTツールを思い出す。いけるか? そのスマートな外見ゆえに不安になるが、他に使えそうな物もないし時間もない。
意を決してPSTの先端をワイヤーとガス管の間にねじ込み幾度も体重をかけて捩る。
きつく縛られていたワイヤーに緩みが生じる。
PSTを持ち替えてワイヤーカッター部分で一本ずつ切っていく。
ハンガーのように太いワイヤーのせいでまとめて切ることが出来ない。
それでも順番に切っていくとついに元コックを縛っていた全てのワイヤーをカット出来た。
すぐに元コックを閉鎖し室内へ向かう。

もしあの時PSTがなかったらどうなっていただろうと思う。
ガスを止めなければ当然作業は出来ないわけで、そうすると当然あの男性も救えなかった。
大げさではなく人一人の命を救ったのはこの小さなPSTだ。(友人は自力脱出していました。)

ひと月に及ぶ避難所での生活でもPSTは大活躍で、 缶詰を開けたり、ビン入りのミネラルウォーターを開けたりは当然で、凍りついた給水タンクのフタを開けて中の氷をニードルノーズで砕きバケツでくみ出し、届いた救援物資を開封したりと大助かり。
避難所を退所し新たな自宅に落ち着くその日まで、まともなメンテナンスが出来ない状態でも確実にその機能を果たし続けた。
新居に落ち着く頃には、当初の頼りなく見えたPSTが頼もしい相棒になっていた。