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モニターレポート

  1. ツールの比較レポート No.4

ツールの比較レポート No.4

ウェーブエッジ。
普段波刃が必要な状況では、S社の物を使う。
波刃の切断力は凄まじく、ある程度の厚さのある畳と同じサイズの合板を真っ二つにできる。
(ギコギコと鋸のようにやるのではなくウェーブエッジに引っ掛ける感じで一気に引く。切断面は非常に綺麗だ)

PSTに欲しかった機能だ。
何の抵抗も無く切れる。
切断面の綺麗さが分かるだろうか。

これなら水を吸ったカーペットでも苦労せずに切れそうだ。
ブレードの形状もシープフットで使いやすいものだ。

各種ドライバーの精度は必要十分でロックがあるので不意にたたまれることはない。
贅沢を言えば90度の位置でもロックがかかればさらに。
PSTより各ドライバーは大きくなったので、長さに余裕があり奥まった螺子も外しやすくなった。
ここまでは評価できるが問題もある。
PST にあった一番小さなマイナスドライバーがなくなった。
うまく使えばゴーグル(安全メガネ)の螺子を締めれただけに残念だ。

何故か薄作りになった缶切りには、根元にワイヤーストリッパーが追加されていた。
うちのボスが気に入りそうだ。
さて肝心の缶切りの使い勝手はどうだろう?
一緒になってる栓抜きはどうだ。
一目でわかるくらい薄くなってるのはとても気になる。
避難所でもらった缶詰の中には本当にいろんなものがある。
中身はもちろんだが、外側の缶も様々だ。
ペコペコの薄い缶から、やたら分厚くて折り畳み式P38缶切りが負けそうになる缶まである。
日本ではプルトップが主流だが、災害時は普段目にしない外国製の缶詰も配られるので要注意。
ついでに言えばミネラルウォーターもビン入りだったりするので栓抜きも必需品。
とにかく自分の分だけでなく周りの人のものも開封しなくちゃならないし、炊き出しの手伝いの時には半端じゃない量を開ける。

取りあえず自宅にあったフルーツ缶を開けてみる。
缶の感じはプルトップ缶と比べてかなり硬い感じだ。
それでもPST と比べて薄くなったブレードはやすやす缶を切り開く。
切り口も綺麗だ。
何よりもフチをつかむ側の工作精度が高くしっかりしている。
昔この部分が良くない缶切りにあたったことがあり往生したことがある。
耐久性はこれから使い込まなければ判らないが先ずは合格だろう。
日本人に馴染みの深い引き切りタイプであることも評価したい。
以前に押し切りタイプのものを人に貸したところ引き切りと同じように使おうとして悪戦苦闘しているのを見たことがある。
一瞬何をしているか理解できなかったが、最初に開いた穴を次に開いた穴でつなぎ、さらに穴を開けてつないでいた。
(説明し難いが、現物を持って行うとわかると思います)
「ピキン・・・ピキン・・・ピキン」 んんん? 不審な音がする。
「あの、使い方分かります?」
「いや、何か使いにくい缶切りですね」
確かに押し切りタイプは馴染みがないと使いにくいなと思って見ると、点々と穴の開いた缶詰が見えた。
(見たらわかるだろうは先入観を持つ人間には通じないようだ。)
説明したら判ってもらえたが軽いショックを受けた。

さて続いて同じブレードだが栓抜きとしてどうか?
以前に入手した物の中にはまるで使えないものもあった。(しかも一応は一流とされるメーカー製だ)
私がPSTを購入した頃はマルチプライヤーは異端で、レザーマン以外は無かった。
そしてツールナイフと言えばスイス製が定番だった。
V社にしろW社にしろ、その品質の高さは折り紙付だ。
収納されている機能は間違いなくその用途に使える。
PSTも間違いなく使えた。
だから使えなかった一流メーカーのプライヤーは印象深く、ブランドで評価することの危険さを教えてくれた。
使えて当たり前と思っていると大間違いだぞと。
実際に栓を抜いてみようと思ったが家中を探してもない。
備蓄している飲料水はペットボトルだ。まあ普通はそうだ。仕方が無いのでビンビールを買ってきた。
PSTと比べて明らかに薄いつくりをしているが差はあるか?
結果から言えば差はあった。
ある程度予想できた通りでPSTと比較すると、より変形が大きい。
これは多分薄作りになったせいで力が集中したものと思われる。
作りの悪い王冠やしっかりと封をされている場合にはどうだろう?
栓が抜ける前に裂けてしまったりしないだろうか?
PSTのものより薄くしたのは本当に正解なんだろうかと思う。
もっともちゃんと缶は開いたし、栓も抜けたわけで役に立つのは間違いない。

最後にヤスリをテストする。
これも適当なものがなかったので近所のホームセンターで鉄パイプを入手する。
ステンレス巻きなのは、適当な長さのものがなかっただけであまり深い意味はない。
PSTの時代からこの鑢はなかなか優秀だ。
もちろんそれはこの手のマルチツールに収納されているものとしてはという意味だが、小さいくせに目がしっかり立っており使える。
過去にはモーターのシャフトを削って直径を合わせたこともある(流石に目は潰れたがまだそのまま使っている)。
だから普通に削れるのではなく切るに近いことをやってみた。
実は震災時にこんな感じの作業を求められたことがある。
詳しくは述べないが、それは必要な作業として求められたことだ。

鑢の比較・ ST300の鑢の削り具合・ T300の仕上がり

さてスーパーツール300の鑢も良く目が立っている。
長さも当然だがPSTよりある。
直径9mmのステンレス巻きパイプを切る。
ガリガリガリ・・・やはりなかなか喰いつきが良い。
一回一回確実に削れる感じがする。
分厚い本体も握りやすくて良い。
もっとも素手だと滑りやすいかもしれないが、グローブをはめている限り問題ない。
PSTよりも握りやすい。
片手で、しかもパイプは足で踏んでいるだけという力をかけにくい状況ながらそこそこの時間で完全に切断できた。

PSTの鑢の削り具合・PSTの仕上がり・両ツールの仕上げの比較

PSTはどうか?
多少サイズの違いがあるが時間はそれほど変わらない。
まあ長さにして1cm程しか差がないので当然の結果かもしれない。
長さをフルに生かせればスーパーツール300の方が有利だろう。

ロック機構に関して。

スーパーツール300にはロック機構が二種類ある。
一つは全てのブレードに働くもので操作のしやすいレバータイプのもの。
グローブをはめた状態でも楽に解除ができるので非常に助かる。
最初はハンドルの面より出っ張っていたので大丈夫かと不安に思ったが、これが意外と邪魔にならない。
むしろ変に奥まっていないので解除が行いやすい。
ただロック部は別のパーツが組み合わされているので、この部分で打撃を加えるのはやめた方が良さそうだ。
そして、もう一つのロック、と言うか押さえ。
ナイフブレードとウェーブエッジのためにハンドル内に横から押さえるパーツがある。
このパーツの突起とブレードの窪みのおかげで鋭いエッジを備えたブレードが不用意にオープンされないようになっている。
これはオープン、クローズ両方の時に働く。
特別の操作がいらないのはよく考えられている。
完全な意味でのロックではないが (スリップジョイントの折りたたみの様に力をかければ開閉できる)、使い手の安全を良く考えていると思う。

総合評価
スーパーツール300を最初に見た時は目が点になってしまった。
デカイにもほどがある、悪い冗談だと思った。
PSTに比べて純粋に増えたのは鋸とウェーブエッジのみなのにこれほどスーパーになるのかと。
しかし色々と試していくとやはり名前の通りスーパーなツールであることが明らかになってきた。
やはり20年分の進歩は確かに認められ、非常にタフになっていた。
特にハードワイヤーカッターはよく出来ており、針金、ハンガー、螺子、釘を切った後でもペーパーカットが出来る。
PSTでは残念ながら真似が出来ない。
各種ブレードも良く出来ており、機能しないブレードはない。
ハンドルは肉厚になっており、しっかりとした剛性がある。
フチの部分はわずかに曲げられこれが手にやさしく、曲げ強度を生み出しているのかもしれない。
たしかにスーパーツール300はデカク、重い。
そのデカサときたら、普通のペンチとほぼ同じだ。
正直なところ紹介文の「少しデカイです」は間違いだろうと思った。
重さも半端じゃなく、PSTにミニマグライトを加えても、まだスーパーツール300の方が重い。
日常的に持ち歩くならもっと軽いものの方が良い。レザーマンには幾らでも軽いものはある。
しかし、災害の現場に持っていくなら、やはりスーパーツール300だろう。
少々の無茶は織り込み済みだという設計者の声が聞こえてきそうだ。
まだ十分に使い込んだとは言えないが、良きパートナーになりそうだ。