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  1. FREE P4使用レポート【フォトライター 秋葉実】

FREE P4使用レポート【フォトライター 秋葉実】

ツールへのアクセシビリティはLEATHERMANの新境地!

2019年、満を持してリリースされた「FREE P4」。
画期的な使い勝手と高いスペックにより、
次世代マルチパーパスツールの位置づけで、新進気鋭の存在となっている。
そんな「FREE P4」を主にアウトドアで実際に使用し、抱いた感想をレポートする。

まずは全体を観察

それではまず、収納時の姿を全体的に見ていこう。本体の素材はステンレススチール。表面に施されたエンボス加工の手触りは上々で、かつグリップしやすい。
※写真は記事執筆当時のものです。P4のランヤードリングは、ポケットクリップへと仕様変更されました。

正規代理店『LEATHERMAN TOOL JAPAN』が販売した証として、[LTJマーク]が刻印されている。このマークさえあれば、25年もの長期に渡って同社の保証を受けることができる。保証書などを必要としない、非常にシンプルなルールだ。

裏側から。ひとつだけツールがはみ出ているものがあるが、これには理由があった。のちほど各ツールを見ていくときに再度触れたい。重量は244g、収納時のサイズは全長10.8cmだ。

側面その1。ぎっしりと隙間なくツールが収納されていることがわかる。1つ1つの加工精度が高くないと、こうはパーツを重ねられない。

側面その2。こちらは太めのツールが収納されている模様。ツールによって求められる形状や強度が異なるため、当然、厚さも変わってくる。

すべてのツールをチェック

すべての搭載ツールを見ていきたい。上の写真は全ツールを途中まで引っ張り出した状態。古くからのLEATHERMANファンなら、違和感を覚えることだろう。そう、ハンドルの片側からしか、ツールが出ていないのだ。

これまで「WAVE+」をはじめとしたマルチツールは、ハンドルを閉じた状態で取り出せるツールに限りがあった。しかし「FREE P4」は閉じた状態のまま、プライヤーを除く全ツールを起動させることができるのである。

気を取り直して全ツールをご紹介していこう。まずはメインツールであるプライヤー部分。先端から順に、次の5ツールが搭載されている。

①[ニードルノーズプライヤー]
②[レギュラープライヤー]
③[154CM取替式ワイヤーカッター]
④[154CM取替式ハードワイヤーカッター]
⑤[エレクトリカル・クリンパー]※ハンドルの根元部分

ワイヤーカッター部分は取替式で、消耗したら別売りでこの部分だけを購入可能。交換は自分で簡単に行える。

プライヤーの起動は片手でOK。「FREE P4」はプライヤーに限らず、全ツールを片手で取り出すことができる。

[420HC直刃ナイフ]
ナイフの刃渡りは7cm。扱いやすいサイズで、切れ味は申し分なし。さらに特筆したいのが、『LEATHERMAN TOOL JAPAN』の保証には「ナイフの切れ味」も含まれるということ。切れ味が落ちた際に研ぎ直しを依頼すると、新品以上の切れ味で返ってくる。

刃物の町である岐阜県関市に所在する『LEATHERMAN TOOL JAPAN』は、三星刃物株式会社の建屋で運営されているため、関の刃物職人による研ぎ直しを受けることができる。切れないナイフは逆に危ないので、とても重要なサービスだ。

ちなみにナイフだけは、収納時に本体からちょっとだけはみ出している。これにより手の感触だけでナイフの位置を把握することができ、迷わず、すばやく、取り出すことが可能だ。

[ハサミ]
ナイフがあるので不要と思われがちだが、ハサミはナイフとは役割が異なる。ナイフの達人でもないかぎり、紙や紐のカットなど、細かい切断作業にはハサミの方が適している。

[420HC波刃ナイフ]
固いロープなど、直刃ナイフの刃が入っていきにくい場合はこちら。波を打った形状が刃の入り込む取っ掛かりをつくり、ぐいぐいと切り進む。美しさすら感じる刃のパターンだ。

[ノコギリ]
筆者はかつて「WINGMAN」を愛用しており、「WAVE+」にしなかったのには理由があった。それは、このサイズのノコギリが役立つはずがないと思ったからである(WINGMANはノコギリ非搭載)。しかし「FREE P4」で実際に使ってみると、その思い込みは大きな間違いだった。

改心する様子は記事の後半で。

さてここまで見てきたプライヤー以外の4ツールは、外側に搭載されている、いわば「長モノ」。これから出てくるツールはその内側に収納されており、写真のように親指で根本を押し込み、先端を突出させて取り出す。従来のように爪を引っかけてツールを引っ張り出す必要がないので、指先への負担が大幅に軽減された。

ではひとつずつ取り出して見ていこう。

[プラスドライバー]
[栓抜き]
マルチツールに搭載されていると、個人的にいちばん嬉しいプラスドライバー。「専用ドライバーを持ち出すほどではないが、ちょっと締めたい」といった使用頻度が多いからだ。

栓抜きは見るからに使いにくそうだと感じたが、その予想はハズレだった。絶妙な曲線が施されており、使い勝手は文句なし。

[パッケージオープナー]
[てこ]
先端の手前側が曲線の片刃になっており、テープで梱包されたダンボールを開封するときや、薄いプラスチックを切り裂くときに重宝する。

このツールには厚さとそれによる頑強さがあり、固い缶のフタを開けるときなどに便利(てこ)。また先端はドライバーとしても使用できる。

[缶切り]
いまどき缶切りを使う機会もないだろうと思い、正直、ツールの頭数要員と認識していたのだが、そんなことはなかった。改心の様子は実際に使ってみた記事の後半で。

[キリ(米国仕様)]
[マイナスドライバー(XS)]
日本のキリとはイメージが異なるが、米国ではレザーや布地の加工に使用される。先端は極小サイズのマイナスドライバーに。

裏側も見てみよう。先端が鋭角に加工されており、キリとしての性能を高めている。中央の穴に強度のある棒状のものを通せば、てこの原理により、力強いトルクで回転させることも可能だろう。

[マイナスドライバー(M)]
[定規(25mm/1.4インチ)]
[ワイヤーストリッパー]
先端はマイナスドライバー。プリントによって定規として使うことができ、根本のくぼみはワイヤーストリッパー(電線のビニール剥がし)に。

こちらは裏側。ワイヤーストリッパーにも、きっちりと片刃が付けられていることがわかる。

[木工/金属用ヤスリ]
[マイナスドライバー(S)]
先端がマイナスドライバー、面がヤスリとなっているツール。こちらの面は金属用。

そしてこちらが木工用。小サイズではあるが、DIYで角材の角を落とす作業でしっかりと役割を果たした。

[ランヤードリング]
ツール扱いではないが、紐やワイヤーを通すことで紛失を防ぐ。筆者は紐状のものがぷらぷらするのがツールの使用時に気になり、すぐに活用しなくなった。簡単に脱着できる小型のカラビナを探しているところである。

各ツールの収納方法

写真中央、ハの字の部分に注目してほしい。これはプライヤーを除いた全ツールのロック機能。安全に使用できるよう、取り出したツールには必ずロックがかかり、意に反して勝手に戻ることはない。

ロックの解除方法は、ハの字の一方(ツールが出ている側)を逆サイドに寄せること。言葉にするとややこしいが、写真で一目瞭然だと思う。

撮影のために人差し指で行っているが、右手の場合、親指で押し下げてロックを解除し、人差し指でナイフを折りたたむのが自然。

嬉しい付属品

「FREE P4」には専用のナイロンケースが付属する。ボタンの出来がよく、脱着はスマートにしてスムーズ。手早く本体を取り出すことができる。

ベルトなどに通して持ち運ぶことが可能。バックパックのデイジーチェーンにカラビナで吊るしても、かっこよく決まりそう。

実際に使ってみた

それではいよいよ、アウトドアで実際に活躍したシーンをご紹介していきたい。キャンプで使ってみてどうだったのか、使用場面とその感想をレポート。

最大の頻度で重宝したのは[直刃ナイフ]。キャンプ中に「何かを切りたい」というシーンは数多く、ナイフはキャンプ用品の定番。直刃ナイフは収納時に本体から少しはみ出ているという仕様だが、これにより目視しなくても迅速アクセスが可能で、使い勝手は秀逸だった。

切れ味は文句なし。それ以上に感心したのが、ブレードと本体との結合部にガタつきがまったくないこと。固定ハンドルのナイフと使用感が変わらなかった。ナイフの使用を通じて、強靭なボディと高精度なつくりを実感することに。

キャンプでは小枝を拾って焚き木にすることも多い。そしてたまに出くわすのが、折れそうで折れない微妙な太さの小枝。

そんなときは[ノコギリ]の出番。かつて「このサイズのノコギリが役立つはずがない」と思っていたツールだが、全然そんなことはなかった。スライドのストロークを短くすればいいだけで、直径3cmぐらいまでの枝なら問題なく切断できた。

もちろん焚き木だけでなく、ブッシュクラフトでポールやトライポッドを作る場合にも[ノコギリ]は有効だろう。

枯れ木の小枝を切り落とす場合には、いわゆる普通のノコギリよりも便利かもしれない。枝と枝との間に難なく入り込めるし、大きなストロークはとれないことが多いので、短い刃渡りはかえって使いやすい。

というわけですっかり見直した[ノコギリ]ツール。今後は庭木の手入れをするときにも活躍することだろう。

[直刃ナイフ]の刃がいまいひとつ入っていかないと感じたら、すぐに[波刃ナイフ]を出動させた。写真の綿ロープの場合、[直刃ナイフ]でも切れないことはないのだが、[波刃ナイフ]の方が断然スムーズ。

[波刃ナイフ]はバゲットを切るのにも最適だった。パンは専用のパン切り包丁が推奨されるほど切れにくい食材だが、まさかの[波刃ナイフ]が解決してくれた。

刃渡りの長さ的に、両サイドから切るなど工夫は必要だが、切れ味は文句なし。

いつもの缶ビールとは気分を変えて、キャンプに小洒落た瓶ビールを用意していくことがある。そしてありがちなのが、栓抜きを忘れるという事態だ。かといって出発前から栓抜きに気を取られていると、他の何かを忘れるのが「キャンプあるある」。備えあれば憂いなしだ。

「ツールの頭数要員」などと失礼な印象を抱いていた[缶切り]。しかし缶切りを必要とする缶詰がどの程度あるのかスーパーで確認したところ、フルーツ系では標準的なスタイルだった。また海外の缶詰や防災用非常食の缶詰には、プルタブのないものが多い。

「開けようとしたらプルタブが取れた」という事案もよく耳にする。それがキャンプ中なら打つ手がなくなることも……。[缶切り]ツールは必要不可欠だと認識を新たにした。

キャンプの最中にキャンプギアのメンテが必要となる場合がある。プライヤーやドライバーといった工具的要素を搭載する「FREE P4」の存在は非常にありがたく、頼もしい。自作ギアを愛用するキャンパーなら尚更だろう。

プライヤーは強靭な指先となる

「FREE P4」のメインツールであるプライヤー。ここまでまったく出てこなかったが、実はキャンプではナイフに次いで活躍する。

キャンプ場で薪を購入すると、針金で結束されていることが多々ある。素手による解除は困難を極めるが、[ワイヤーカッター]を使えばいたってスマート。

……とここで「それ以外にキャンプでペンチを使うことなんてそんなにないんじゃ?」と思われるかもしれないが、まずはそのペンチ的なイメージを取り払ってほしい。アウトドアでは、プライヤーは強靭な指先となる。

熱々のレトルトをクッカーから取り出すときにもプライヤーが活躍。強靭な指先はヤケド知らずだ。クッカーを架台から下ろすときにも有効。

ガスバーナーでお湯を沸かした場合には問題なく触れる取っ手も、焚き火の炎を利用すると全体が熱くなってしまって手を出せない状態に……。しかしプライヤーの窪んだ部分を利用し、ケトルの取っ手をがっちりと掴むことができた。

プライヤーは「熱いものをつかむ」ことにガンガン活用できるツールなのである。

また「FREE P4」の特長は、片手でツールを取り出せること。プライヤーの起動は、革手袋の装着よりも素早く行える。

ペグを抜くときも、強靭な指先をフル活用したい。このように先端をペグの穴に差し込み……。

グイッと回転させることで、ひとまず抜けやすい状態に。

あとはわしづかみにして引き抜く。グリグリと回転させ、揺さぶりながら引っ張ると抜きやすい。

握力が何倍にも増幅された指先、それがプライヤーだ。

日常使いでも頼もしい相棒

アウトドアだけではなく、自宅でも活躍するのが「FREE P4」。工具箱やキャンプ道具入れに閉じ込めておくのはもったいない。日常的に最も便利だと感じたのは[パッケージオープナー]と[てこ]。

DIYではいつも固いペンキの蓋に悩まされていたが、[てこ]ツールによって解決された。

通販のダンボールを開封するときはもちろん、薄い透明プラスチックのパッケージを開けるときも便利だ。

工具箱を取りに行くまでもないような、家具や自転車のメンテにも。いつでも手に届く場所に「FREE P4」を置いておくことで、「今度の週末にでも……」といった後回しが回避される。

プロの使用に耐える

以上、アウトドアから日常使いと、比較的ライトな使用レポートになったが、「FREE P4」はヘビーデューティー仕様である。

LEATHERMANを評する言葉に「⼿の平サイズの⼯具箱」という秀逸なコピーがあるが、「FREE P4」こそ、その表現にふさわしい。多機能な携帯工具として、機械の整備でも活躍するプロツールだ。

ツールへのアクセシビリティが大幅に進化したLEATHERMANの新境地、「FREE P4」をぜひ手にしてほしい。

フォトライター 秋葉実